ようやく、ダムドの曲名を冠したコーナーが登場、「1 of the 2」。この選択に深い意味はない。今回は、センターカットの完全2ピース・ライギョ竿についての考察だ。なぜ2ピースなのかって?これもこの世に存在しないから、ではなく、

やはり、2ピースの目的は可搬性に尽きる。

で、現代のライギョ竿って、一部のショートロッドが完全1ピースなのを除いてはバットジョイント若しくはハンドルジョイントと呼ばれる、1ピース+という形態をとっている。ハンドル部で並継ぎにする場合や、フリッピングロッドの様な振り出しジョイント、12フィート・センターカット2ピースのサーフロッドのバットを大幅にカットした様なハンドル上部での並継ぎ等。厳密に言うとこれも2ピースの一種だ。一般的に言われる2ピースの弱点は、こんな感じだろうか?

  1. ジョイント部(フェルール)から破壊する可能性がある。
  2. 2ピースだとブランクのベンディングカーブが損なわれる。
  3. フェルールがあると摺り合わせ等で手間やコストがかかる。

バットジョイントだと2.はクリアできるだろう。ただ、トラウトロッドやフライロッドと違って、ライギョ竿に美しいベンディングカーブが必要なのかは大いに疑問だ。3.は条件的に変わらない。とすれば1.の強度が問題として残る。バットジョイントは、最も強度のあるバット部分にフェルールを設けることによってこの問題を解決しようと考案されたのだろう。本来なら1ピースにしたかったに違いない。

ただ、よく考えてみると竿で最も負荷が掛かる部分もバット部なのだ。曲げモーメントは先端からの距離に比例するので、バット部はベリー部の倍近い負荷を受けることになる。だからこそあんなに太い肉厚なのだろう。メーカーが作る竿はその辺りの計算をしているはずだが、自分で1ピースロッドにバットを継ぎ足す場合は強度に注意する必要がある。

恥ずかしながら管理人はライギョ釣りで2回ほど竿を折ったことがある。いずれもフッキング時だ。1回目は50クラスのタイワンドジョウ相手に、テンリュウのヘビーアクションバスロッドがバットジョイント部で折れた。2回目は70アップのカムルチィ相手に、4ピース・10番フライロッドのセンター部・2番フェルールが折れてしまった。1回目はフェルールが弛んでいたのかも知れないが納得していない。2回目は足元近くのカムルチィ相手にいつものライギョ竿の感覚でフルフッキングしてしまったのだから、これは仕方がないだろう。いずれにしても、ライギョ相手ではフェルールが破壊する可能性があることを念頭に置こう。

それでは実際に検討してみる。 もちろん日本ではこのような竿は市販されておらず、ゲームフィッシングの先進国・米国にそのネタを求めるしかない。まず思い浮かぶのがマスキーロッド。ここ近年、脚光を浴びているビッグベイトでのバス釣り用でちらほらと見かけるようになってきた。そしてソルト系ロッドだ。いずれにしてもパワー的には問題ないだろう。だが、いざ2ピースで検討してみるとその数は激減する。また、アメリカでは超高級竿でもない限りSiCガイドではなく、ハードリング系を採用している。さすがに質実剛健、とほめても仕方がない。PEイコールSiCと刷り込みされている日本人には耐えられないだろう。では、竿を仕入れてガイドをSiCに付け替えるのか?いや、ガイドを付け替えるのならブランクから組む。

というわけで、この企画に使えそうな2ピースブランクは、

メーカー
種類
型番
長さ
ライン
ルアー
アクション
テーパー
バット径
ティップ径
重さ
値段
St.Croix
マスキーロッド
2M70MHF2
7フィート
20〜50lbs
3/4〜3oz
MH
Fast
0.6
8
3.7
$90.00
St.Croix
マスキーロッド
2M70HF2
7フィート
30〜65lbs
2〜6oz
H
Fast
0.655
11
4.3
$95.00
Cabela's
マスキーロッド
GMU704
7フィート
10〜20lbs
3/8〜2-1/4oz
MH
Mod
0.555
6.5
-
$39.99

*注・バット径は1インチ(25.4mm)を掛けるとmm換算、ティップ径は25.4/64を掛けるとmm換算される。いずれも米国での表記方法だ。 重さはもちろんオンス。

素材はいずれも中弾性カーボンだろう。「トルク特性がどう」とか難しいことを言われても大丈夫だと思う。管理人は気にしたことはない。値段はCabela'sのブランクが圧倒的に安い。未来のライギャー向けにはもってこいだね。ただ、見た感じパワー不足のように思える。だとすればSt.Croixのどちらかになる。ブランク直輸入はスペックだけで判断するしかないので、なんといっても経験がものを言う。管理人の判断基準はラインクラスと竿の径、そして重量だ。同じ径でも重い竿は肉厚のある、しっかりしたブランクになるから。ルアーウェイトはそれらに比べるとあまり考慮していない。あと、カーボン素材の弾性も考慮したいところだ。高弾性カーボンならより細く、軽くできるのは想像がつくだろう。そう考えると、St.CroixのMHはやや柔らかめで、Hはやや硬い竿のように感じる。野性の勘なので外れること多数だが・・・

あとはインターネットショッピング、ブランク屋のサイトで注文だ。注文してから入ってくるまでは、しばらくかかるだろう。ライギョのためならお金は惜しまんぞ、それ以外に使い道がないからね。

最後に釣り具メーカーに一言、未来のライギャー向けに安い2ピースのライギョ竿を作ってもらいたい。バットジョイントでもいいけど、ややこしい能書きは不要だ。若年層に対して釣りの啓蒙をするのなら、そのついでにどうだろうか?それとも、定価5万円もする、マッチョな高級ライギョ竿じゃないと人が釣れない、いや魚が釣れないとでも言うのだろうか?定価1万円台で何とかお願いします。管理人も今回はできるだけコストを削ってみる都合です。

次回、野性の勘でビルド編へと続く(2006/1/29更新)

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