ビルドについてのエトセトラ・その2

「ビルドの能書きなんかライギョに関係ない!」って、すぐに戻るボタンをクリックしたり閉じたりしないで、ちょっとだけ付き合ってね。

ロッドビルドで何ができるの?なぜ、わざわざロッドビルドするの?ちゃんとした竿が売ってるんだから、という意見はあると思う。「ライギョロッドって特殊だから、フィールドテストを繰り返して完成したロッドの方が信頼できるよ!」なんて言われるかも知れない。で、前回はハードウェア関連について述べているが、今回はソフトウェアとでもいうのか、ハード以外についてだ。題して、「ビルドへの想い」。

ロッドビルドでできること、そのメリットについて。

これは簡単だ。世界で唯一つだけの、完全オリジナルの竿を使うことができる。ある程度の経験を積んだ釣り人なら、自分のスタイルって存在すると思う。そうした場合、市販の道具だとどこかに不満を感じてくる、そんなことってないだろうか?世間でよく言われるところの、他人と違う道具を使うことの優越感、なんかじゃなくて、自分のコンセプトを反映した竿が使えること、こっちの方が重要だと思っている。道具に自分を合わせるのじゃない、自分に道具を合わせてしまうのだ。そういった点はファイナルダムンを御覧頂ければ、管理人が道具を自分に合わせる為に、ありとあらゆる手段を尽くしていることは感じて頂けると思う。ただ、現代のカバーでのカムルチィ狙いだと、あまりスタイルには差が出ないのなのかなぁ、なんて思ったりもするのだが。

カスタムビルドロッド群
オーソドックスなのからフライ、超ヘビカバ、タイワンドジョウ用までカスタムビルドライギョ竿が勢揃い
上からFalco、天雷、秋水、神雷2号、Gamulchi70、2ピース・カムルチィ、Folgore、ナマ1号、ナマ2号、初代神雷
竿の数だけその想いがあるのだ

もちろんのこと、見た目で他人と違う道具を使うことは否定しない。グリップのデザインにこだわってみたり、ブランクを塗装してみるとかスレッドの色遣いや飾り巻き等、見た目からカスタムビルドしてみるのもいいだろう。見た目でもコンセプトでも何でもいい、自分の想いを込めて組んだ竿で魚を釣ることの素晴らしさ、とにかくこれに尽きると思う。

あと、ビルドってお金がかかりそう、そんな印象を持った方もいると思う。コスト削減を目的とした「2ピース・カムルチィ」ですら2万円を超えてしまったのだから。でも、定価5万円を超える竿を考えると、そんなにコストって掛からないぞ。5万円超の竿は極端な例だが、バス用に比べるとライギョ竿って高い、手軽に買える価格帯ではほとんど存在しないのは紛れもない事実だ。経験的には、ステンレスSiCでライギョ竿を組むのなら、ブランク代+1万円あればビルドできるだろう。今のところ「2ピース・カムルチィ」よりもさらなるコストダウンを目的とした竿の作成をアップする予定でいる。ブランクは既に入手済だ。

ちなみに管理人がビルドを始めた理由は、コストダウンが目的だった。中学生の頃なので超ビンボーだったからね。それ以降、連綿と続いているワケではないが、竿は自分で作るもの、というのが当たり前になってしまっている。その理由は当時とは大幅にかけ離れているのだが・・・

1から竿を組むのが難しいと感じるのなら、グリップの改造からやってみるのが良いかなと思う。市販ライギョ竿ってバットジョイントだから、ブランク側は何も手をつけなくてもできるだろう。グリップって常時手で持つのだから、それだけでも充分に価値があると思うぞ。難易度も低いし。

次はデメリットね。

まず、敷居が高そうに思えるのかな?色々と揃えるものも多そうだし。道具については、一度仕入れればあとは使い回しが効くのでどうにかなると思う。一見難しそうに思えるロッドビルドだが、中学生レベルでできるというのは前にも述べている。極端な話が、1本目から市販竿と同じレベルを求めようとする方が無理に決まっている。管理人なんぞ「ビルド歴は20年を超える」と豪語しているが、いっこうに上達しない。それでもいっぱしのビルダー気取りで能書きばっかりだ。そんなヤツもいるのだから気にする必要はないと思う。手先が不器用だから無理かなぁ、なんて言わないでね。実のところ、手先の器用さよりも根気の方が重要だったりする。管理人は本当に手先が器用で、こんなコトが平気でできたりするのだが、

折り鶴
6mm四方の紙で折った折り鶴
気合いを入れれば5mm四方でもOKだ

いい加減な性格なので、20年間進歩のないヘタクソビルダーのままなのである。特にコーティング工程がニガ手なのだ。「まぁいいや」とか「こんなの適当だ」といった発言を頻発させているから。無論、不器用よりも器用な方がいいに決まっている。だけど、「自分に合った竿を組む」という想いの方がはるかに重要だと思う。

次はブランクの問題。ライギョ用のブランクがほとんど存在しないのも前に述べた。市販竿みたいに釣具屋さんで触ったり、人に聞いてみて判断するというのができない。竿って安い買い物じゃないので、色々と情報を入手して買うものだと思う。それがブランクだと、全く情報がないから誰もそんなリスキーなことはしない、そうなると需要のない市販ライギョ用ブランクも廃盤になってしまう、という悪循環なのだ。悪い流れを何とかして断ち切りたいと思う。幸いにも廃盤と思われたJustaceのライギョブランクを取り扱っているショップを発見した。ブランクはオーダーして手元にあるので、ビルド編をアップしようと思っている。あと、アップしている以外にもライギョ竿に使えるブランクは所持しているので、若干だけど情報発信することは可能だ。例えば「Allstarのマスキーブランクは結構硬いぞ」とかね。ただ、現状だとアルガマスターとの比較しかできないのを申し訳なく思う。が、そのうち、色々なことができるようになるかも知れないね。

ブランク群
こちらは未着手のブランク多数
JustaceやLamiglas、Allstar、Cabela'sなどなど

あとはとっかかりの問題か。やはり身近にビルダーがいたり、ビルドに強いお店があったりなんかすると、色々なことが聞けて話も早いだろう。管理人がビルドを始めた頃は本を買うくらいしかできなかった。エロ本よりも、Fenwickのブランク教本を穴が開くまで眺めていたのもこの頃だ。けど、今は違うぞ。このインターネット時代、ビルドを取り扱っているサイトが無数に存在する。それもファイナルダムンみたいな悪質なのじゃなくて、相互リンクさせて頂いている、魚花さんの「Fish to Flower」みたいな良質なサイトがあるのだ。大きい釣具屋さんに行けばパーツも色々と売っているし、インターネットショッピングでオーダーすることもできる。当時を思えば、本当に良い時代になったものだ。

とにかくライギョ系ロッドビルダーが増えてほしい、というのが今の想い。「ライギョ系ビルダーが増える=ブランクの選択肢が増える」なんて身勝手な発想がないとは言いかねる。だけど、それよりも「自分の想いを込めて組んだ竿で魚を釣ることの素晴らしさ」をより多くの人に感じてもらいたい。何もメーカーの開発者やテスターみたいな特別な人たちだけじゃない、普通の釣り人にもできることなのだから。

「流れを作った」なんて自意識過剰なことは言わない。ただ、「入り口は作ろう、そして、後に続くものを信ず」そんな想いを込めながら、ビルドしてみようかな、と思う人の手助けになれば、それでいい・・・(2006/10/22更新)

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