「ミキ、 ちょっとこの竿、見てくれる?」

特殊攻撃筏竿
特殊攻撃筏竿やねんな
確かに、グリップ長いし、変だよねっ

「・・・コレっ、Gamくんが使うのっ?」

「ウチが他人の竿をビルドすると思う?」

「ううん、それは知ってるよっ、Gamくんってよっぽどのコトでもなかったらしないよねっ」

「自分の竿をビルドするのも面倒やのに、他人の竿なんかやってられへんもん」

「このロッド、トリガーシートだよねっ、それに変なところにトリガーついてるし、・・・だから、Gamくんじゃなくって人のロッドだと思ったんだけど・・・」

「そう、ここ近年でウチがビルドする竿としてはトリガーの存在って珍しいし、トリガーの場所もおかしいやんね」

「Gamくんがビルドするロッドって、ず〜っとトリガーレスばっかだったじゃん、それじゃぁ、トリガーレスはやめちゃうっ?」

「ウチの最新の考え、いや、最新でもないなぁ・・・」

「じゃぁ、いつのお話しっ?」

「4年前にイカダ釣りしてた頃の話し」

「ってコトはイカダ釣りのロッド、でいいんだねっ」

「今回の増刊号のお題はベイトロッドのトリガーシート、イカダ竿としてのコンセプトは別の機会に譲るけど、トリガーと左ハンドルベイトに関しての今のウチの考えをコメントするよ」

「うんっ」

「そしたらこれも見てくれる?」

マグキャスト
また登場させたけど、いいよね?
Gamくんの基本だから、別にいいじゃんっ

「バンタムのマグキャストっ、Gamくんの最初の左ハンドルベイトだねっ」

「コルクのフジグリップも当時ウチが使ってたそのままの組み合わせな」

「じゃぁ、大昔のタックルだねっ」

「ウチがトリガーを削除してみたり場所を変えたりするのはキャスティングとの兼ね合いがある」

「・・・」

「今のベイトロッドってダブルハンドルが基本で、これを両手で投げるやんね」

「さっきのグリップ、昔はシングルハンドで投げていたんだっ」

「そう、人差し指にトリガー、これが昔からウチの基本やけど、今はそうじゃなくって中指トリガーでパーミングして投げるヒトがいるよね」

「それっ、ツーフィンガーとか、スリーフィンガーって言うんだよっ」

人差し指 中指 薬指
左からワンフィンガー、ツーフィンガー、スリーフィンガーだよっ
ミキ、そんな言い方、昔はなかったぞ・・・

「そんな気のきいた言い方は無理・・・」

「ぷぷぷっ」

「投げる時の握りって、浅く握る人差し指トリガーの方が手首が生かせる、・・・手首のスナップが生きるからウチはこれが投げやすい」

「・・・」

「深く握るパーミング投げ、特に薬指トリガーは手首が完全に死ぬから投げにくいんやね」

「今のロッドはダブルハンドルだから、それでも投げれるよっ」

「ウチも近距離をコントロールキャストする場合は深く握る場合があるよ」

「使い分けてるんだっ」

「まぁ、それはともかく、人差し指トリガーで右投げ左巻きの場合、パーミングしてリールを巻く動作に移行するのにトリガーがあると邪魔やねんな」

「だからっ、トリガーレスにしたんだねっ」

「ウチのパーミングは薬指トリガーが基本やから、中指と薬指をトリガーから逃がして握り直しする必要がある」

握り直しその1
ジムに言わすと左ハンドルベイトってもっとややこしい持ち替えをするらしい・・・
ジムって村田さんっ?

「トリガーがないと握り直すのに邪魔なのがなくなるっ・・・」

「右投げ右巻きの場合は、右で握ってたグリップを左に持ち替えてパーミングするやん」

「うんっ、結局は持ち替えるからそこで手直しできる、みたいなっ」

「長いこと左ハンドル使ってたから無意識に握り直しをしてたけど、そこを意識した結果、握り直しの楽なトリガーなしのベイトグリップ、ってのがそもそものスタート地点やねん」

「へ〜っ」

「で、トリガーなしの場合、握り直しは楽になるけど、それと引き替えで安定性がなくなるやんか」

「引っかかりがなくなるもんねっ」

「それ以外やと、ちょっと前から増えてきたベイトフィネス用のトリガーレスグリップと一緒にされるのがイヤやねんな」

「ぷぷぷっ、ほんとに他人と同じなのが嫌いなんだねっ」

「そこでウチはトリガーの復活を画策したワケやけど、まず、イカダ釣りって投げる釣りじゃないから握り直し動作そのものがなくなるんよね」

「うんっ、さっきのGamくんのお話しだとその通りだけど、トリガーの位置は何かワケがあるんだねっ」

「昔の初代TD変態グリッピングレフト専用のバスロッドはトリガーの位置が前にあった」

「へ〜っ、そんなロッドがあったんだっ?」

「TD変態グリッピングレフトってパーミング投げ前提のリールやけど、『トリガーイコール人差し指』って発想からトリガーの位置を前方向に変えた」

「Gamくんはグリッピングレフトをイカダ釣りに使う、ってお話しだったからこのロッドもそうした、ってコトなんだね」

「今はこの復活させたTD変態グリッピングトリガーで投げることを考えてる」

「でもそれっ、さっき言ってたパーミング投げになっちゃうよっ」

「パーミングする必要はない、浅く握って両手で投げるんや」

浅く握る
人差し指はだいたいフツーのトリガーと同じ位置な
引っかかるものがないっ・・・

「じゃぁ、握り直しはしないとダメっ・・・」

「人差し指だけを解放して握り直すからフツーのトリガーよりも全然楽、もちろんトリガーなしに比べると一手間掛かるけど」

握り直しその2
最低でも06スピードマスター並みのラインキャパがほしい・・・
ナイロン5号で115メートルだっけ?

「リールもグリッピングレフトじゃないっ・・・」

「そう、フツーの左ハンドルベイトでTD変態グリッピングトリガーを使う」

「見た目っ、なんか、違和感があるねっ・・・」

「昔はトリガーなしのベイトグリップって見た目違和感あったけど、今はバスプロ諸氏の影響で昔ほどそうじゃないと思うよ」

「Gamくん、肝心なコトだけど、このトリガーはどうしたのっ?ダイワのじゃないよねっ?」

「フジのVSS16にIPS/TRを削って接着した」

VSS16
下のがIPS/TRな
こんなのがあるんだねっ

「ふ〜んっ・・・」

「フジのIPSシートってスピニングとベイトの共用でベイトグリップ用には別付けのトリガーがある、最近はACSシートやスケルトンが主流やけど、IPSシートのベイトグリップはこんなん・・・」

ロイヤルカーボ
結構使い込んでるロッドだねっ
これは旧リョービのロイヤルカーボ、テレスコのバスロッドな

「このっ、IPS/TRってトリガーだけをVSSシートに接着したんだっ」

「そうやね、実はVSS16って細くてベイトグリップとしては握りにくいから、本気でやる場合はVSS17にした方がいい」

「今まではトリガーシートを削ってたけど、それに接着はしなかったんだねっ」

「TCSシートにすると握りの太さはそれで解決するけど、トリガー削るんめんどくさいし、『南山 蛇頭殺』みたいに失敗するやん」

TCS削るん失敗
南山って難産に通じる?
っ・・・

「ぷぷっ」

「VSSでベイトグリップ、って選択をする人もおらん、ってのもあるよ」

「あっ、VSSはスピニングシートなんだねっ」

「あとはカタチが単純やんね」

「フツーのコルクグリップにトリガーだけだねっ」

「市販品のトリガーレスグリップって、その商品化に携わったバスプロ諸氏の能書きが色々あってもっとややこしい形状、でも、握りはシンプルイズベスト、ってのがウチの思いで、人間工学みたいのモノって胡散臭くて仕方がない」

「・・・」

「そしたらこれを見てくれる?」

F3&F4
ノースコリアはD4やけど、ウチはF4でやめた
Gamくんもカメラ、持ってるんだねっ

「これは一眼レフのカメラっ・・・」

「ニコンのフィルムカメラ、F3+モータードライブとF4Sやねんけど、ウチが握りやすいのは人間工学的形状のF4じゃなくって、単純なF3な」

MD−4 F4S
F3のモードラMD-4はホンマにシンプルイズベストやと思う
どっちも重いから疲れないっ?

「・・・」

「トリガーなしがグリップワークで自由自在なのはもちろんやけど安定性に欠けるのは事実、でも、TD変態グリッピングトリガーをフツーのベイトリールで使うことで安定性と握り直し動作の妥協点を見いだすことができる、ってのがウチの今の考え」

「妥協って、Gamくんにしては珍しい表現だけど・・・」

「それは言い方次第、安定性とグリップワークの高い次元での融合、って言ってみるか?」

「それでもいいじゃんっ」

「そんな言い方することはもうないと思う」

「Gamくん、やっぱ、変わったねっ」

「ジジィになるってこんな感じ?」

「あははははっ」

「・・・安定性の話しになるけど、人差し指でトリガーをフックするのと他の指でトリガーを挟むことを比較すれば、人差し指フックが安定するし、それに関連するけどフツーのベイトリールをパーミング投げする場合も中指トリガーよりも人差し指でフックした方が安定すると思う」

「人差し指の方が力が入るからだねっ」

「うん、それとメッキ狙いのときに薬指トリガーで長い時間トウィッチングすると薬指と小指がめっちゃ痛くなるけど、それの解決も期待できそうやわ」

「Gamくんのお話しだと、色々メリットがありそうなんだねっ」

「中指トリガーでフルキャストできればフツーのトリガーシートでもいいけど、ウチは無理やもん」

「手首、ってお話しだっけ」

「あとはそうやなぁ、・・・TD変態グリッピングレフトの形状ってダイワの特許がらみがあるんよね」

「それじゃぁ、他のメーカーではできない、みたいなっ?」

「特許文面の解釈次第やけど、今までダイワ以外のメーカーで採用されることってなかったよね」

「じゃぁ、Gamくんは大丈夫っ?」

「ウチは商売でやってない、個人の趣味やん、だからウチにとっての最大のメリットは『特許がらみでダイワ以外からは市販されなさそう』、これやと思うぞ」

「ぷぷぷっ」

「結局はダイワのパクリやけど、まぁ、『トリガーレスは昔のお話しで、これからの時代はねっ、TD変態グリッピングトリガーなんだよね〜っ♪』ってことで終わりにしよか?」

「・・・ちょっとGamくん、そこでミキのマネしちゃうっ?」

(2015年5月17日発行)

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