スピニングリールでのカバーゲームの可能性を

序説

現代のライギョ釣りでは、100%ベイトタックルが使われていると言っていいだろう。いや、1980年代からそうだった。管理人が小学生の時に読んだ、ルアー釣り入門にも「ベイトリールは巻き上げの強さが特徴と」謳われていたような覚えがある。しかし、タックルの進化には著しいものがあり、昔はスピニングリールの領域とされた、3g以下のルアーでさえベイトリールで投げる時代だ。実際に管理人も、マイクロルアーを多用するメッキ釣りにベイトタックルを使用している。それではその逆はどうなのか。ベイトの領域とされたライギャーにスピニングは可能なのか?実際にスピニングの可能性を追求したい。

実は2002年頃に一度実験したことがある。当時はソルティガ・ブラスト4500に神雷ロッドの組み合わせだった。リールのパワーは充分すぎるのだが、何せ飛ばないこと。PE10号では全く使い物にならない。PE6号でもかなり厳しく、PE4号ならベイトタックルに充分対抗できるレベルだった。さすがにPE4号は実用性に欠けており、それ以降この企画は封印していたのだが、当HP立ち上げに際して再度実行に移す。

まず、ベイトリールの優位性についての考察を。

ラインキャパに対する重量はメーカーのカタログ表示を比較すればわかるが、スピニングは同じラインキャパならベイトよりかなり重くなる。シマノならコンクエスト400/401のPE5号195mで345gに対し、ステラSW6000ならPE5号170mで570g+ハンドル重量、SW8000ではPE5号250gで540g+ハンドル重量である。これより小さいSW5000についてはPE4号180mで300g+ハンドル重量だが、コンクエストならPE4号は250m巻けることになっている。一方ダイワ精工ではミリオネアCV-X300がPE5号190m、PE4号230mで重さはスネークヘッドカスタムが360gだが、ソルティガZ4000ではPE4号220mの575gだ。セルテート4000だとPEの表示がなく、ナイロン5号で200mの365gになる。

巻き上げについては、直角にギヤを配置して、さらに糸を直角に曲げて巻く(ハイポイドギヤ?とベールのこと)スピニングよりもベイトの方が効率が良さそうなのは見た目だけでも理解いただけると思う。但し、現代の頂点に立つスピニングの実力は侮りがたい。さらに先に挙げたステラSWやソルティガならコンクエストやミリオネア以上にパワフルだ。

飛距離と糸の太さの関係は、スピニングがスプールに巻かれている糸が渦をまいて拡がりながら放出しているので、スプールエッジとバットガイドが放出抵抗になりやすく、それが太糸になると特に顕著に表れる。神雷ロッドはローライーダーガイドを採用していたが、投げ釣り用の細PEだと富士工業の計算通りなのかもしれないが、太いPEだと収束すると言うより思いっきりエネルギーを削いでいる感じだ。ベイトだとスプールを回転させながら強引に放出、さらにレベルワインダーで整流しているので、スピニングに比べると糸の太さにはあまり左右されない感じがする。

一方、スピニングの優位点は、

投げる重さについては説明はいらないだろう。ブレーキ調整もいらないし。一方、初速については、ベイトが遠心ブレーキやマグブレーキでスプール回転数を制御しているためある程度の限界があり、後はサミングでバックラッシュを制御しつつ初速を上げるしかない。リールのブレーキに頼らずサミングだけで制御するなどは、一発投げれば終わりの遠投大会ならまだしも、実釣では繰り返し繰り返し投げるので論外。まるで神業の領域ではないか。しかしスピニングだと初速を上げることによる制御の必要性がなく、その初速は放出抵抗さえクリアすれば事実上糸が切れるまで上げることができる(あと、ガイドに絡まなければ)。

もう一つ述べるべき事、それは値段だ。ステラSWやソルティガZは恐るべき高価なリールであり、そう易々と買えるワケではない。むしろ一種のステータスシンボルともいえる。隣のオッさんを威圧するかのような感じだろうか?管理人の選択も現実的なソルティガ・ブラストだったし、もう少しあとならナビ8000PGを買っていただろう。そんなスピニングに比べるとベイトはまだ安い方だ。ステラSWなら下手すればコンクエストが2個買えるよね。昔はベイトの方が高かったのに。エビス時代に売っていたABUのULTRAMAG XLやXLTからベイトの値段って変わっていないぞ。いや、あのシリーズが不当に高かっただけなのか・・・

以上、ライギャーに関してはやはり糸の太さによる飛距離への影響がネックになる。最低でもPE6号、通常はPE10号を使うのだから。これはすでに実験でも判明している。さらに重要なことは、ライギョ用のスピニングロッドなどこの世には存在しないのだ。
一方、GTロッド改ではない竿やガイドシステム、リールの選択によっては飛距離を伸ばせる可能性もまだ残されているのではないだろうか。「バックラッシュチャンピオン」と言われた管理人は、限界が見えつつある(何の?)ベイトタックルではなく、スピニングタックルの可能性にもう一度賭けてみたい。また、幸いなことに管理人はロッドビルダーなので人に頼まなくとも自らのコンセプトを竿に反映できる。それこそカスタムビルドの真価を発揮する時ではないか。
さあ、シーズンインまでに竿を組むぞ。

企画倒れに終わりそうな予感を感じさせつつ、以下本編へ続く・・・(2006/1/3更新)

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