「この時間は基礎編ってことで、歯車の基本について説明するよ」

「うんっ」

「まず、最初に表現の揺らぎについてコメントするわ」

「メーカーよって表現が違う、ってコトだねっ」

「リールの歯車ってハンドル側が大きくて、出力側のスプール軸やらローター側は小さくなってるよね」

「うんっ」

「特に大きい方の歯車って表現がバラバラやから、まず、ここを統一しないと本編が進まん」

「特定のメーカーの表現方法は採用しないっ・・・」

「ウチは中立公正がモットーやもん」

「じゃぁ、どうするのっ?」

「歯車用語についてはJIS規格が存在して、『JIS B0102-1』がそれに該当する」

「・・・」

「基本線は『JIS B0102-1』になるけど、まず、JISと各メーカーの表現の対比を紹介する、最初はウチが持ってる古いリールの分解図・・・

JIS規格
ABU
'81・5001C
PENN
Spinfisher
440SS
シマノ
バンタム
マグキャスト
ダイワ
PMA33SL
オリムピック
ミゼット2
リョービ
キャスプロ
V-MAG3
Quantum
QD1420L
大歯車
Drive Gear・・・
Main Gear
メインギヤー
ドライブギャー
メインギャー
マスターギヤー
DRIVE GEAR
小歯車
Left Pinion Gear
Pinion
ピニオンギヤー A組
ピニオン

ピニオンギヤー

PINION GEAR
PENNだけスピニングなんだねっ
440SSは現物と分解図が手元に存在するけど、キャスプロは分解図だけ存在・・・

次は今のリールやけど、できるだけキャラクターを古いリールに合わせたのと、LEXA400とイクシ、Quantum以外は現品ないからWebで分解図PDFをダウンロードした」

JIS規格
ABU
5501CA FCT
TUNED
PENN
Spinfisher
SSV3500
シマノ
'13・メタニウム
ダイワ
タトゥーラHD
US ダイワ
LEXA400HSL
リョービ
イクシオーネ
F300LF
Quantum
Smoke
SL151HPT
大歯車
MAIN GEAR
Drive Gear
ドライブギア

ドライブギヤー

Drive gear
マスターギヤー
Drive gear
小歯車
PINION GEAR
Pinion Gear
ピニオンギア
ピニオン
Pinion gear
ピニオンギヤー
Pinion gear assembly
イクシオーネはこっちなのっ?
広島リョービじゃなくって今のチャイナリョービは現品ないもん

「Gamくん、昔はホントに『ギャー』って言ってたんだねっ」

「そう、昔のダイワとオリムピックはギャーギャー言うてたんやぞ、・・・困ったのが現行ダイワで、ギヤコンバージョンできんようにしたんか知らんけど、修理預かり対応で大小歯車のセット交換のみになってる」

「歯車を部品で注文してギヤ比を変更、みたいなコトが結構あったからっ?」

「USダイワは単品供給してくれそうやのに、せこいなぁ、ダイワ精工・・・」

「グローブライドだよっ、Gamくん」

「あのな、グローブライドとかスポーツライフプラネッツとかって言いにくくて仕方がないわ」

「あははっ、・・・それでねっ、5001Cの『Drive Gear・・・』は何か意味があるっ?」

「分解図によると『Drive Gear with click spring』、これはドラグクリックのことやけど、今回は関係ないやん」

「そうだねっ」

「だから省略した」

「あとはっ・・・、オリムピックのミゼット、小歯車がないけどコレって?」

「スプールAssy供給やから分解図には記載されてない」

「結局、小歯車はどれもピニオンって表現だけど、大歯車はメーカーでもそうだし、昔と今でも表現が違うねっ」

「そう、各メーカーでも年代で違うやん、だからさっきも言うたけど、中立公正の観点から今回は『JIS B0102-1』の呼称、大歯車と小歯車って表現に統一することにした」

「なるほどね〜っ」

「そしたら次、基礎編の教材を紹介する」

バイキングGS66
これを大改造してイカダに持ち込んだら面白いと思うけどなぁ・・・
ちょっとわかんないねっ

「コレっ、どういうリールなのっ?」

「ダイワの片軸リール、バイキングGS66やね」

「イカダリールとは違うっ?コレっ、よく似てないっ?」

「今のイカダリールの源流はこのあたりに求めることができると思うよ」

「ふ〜んっ」

「そしたら分解、ちゅーかスプール外すだけやけど・・・」

分解?
Gamくん、簡単なのがいいよねっ
それで正解

「あはっ、すっごく簡単っ」

「フツーのベイトリールの歯車は歯すじが斜めになってるけど、この歯車は歯すじが真っ直ぐやんね」

平歯車
クラッチの兼ね合いで大歯車にネジやらバネやら・・・
ちょっと難しくないっ?

「うんっ、そうだねっ」

「これは平歯車、って種類で、歯車の基本中の基本になるよ」

「じゃぁ、今回バイキングを教材にしたのはそういうコトなんだねっ」

「もちろんスプール外すだけで歯車にアクセスできる親切設計、というのもあるぞ」

「ぷぷぷっ」

「歯車1コでもいろんな要素があって言い出したらキリがないからターゲットを絞ろう、

平歯車に関してはこの項目を押さえれば問題ないと思う」

「歯数は単純に、凸凹の数、でいいんだねっ」

「そうやね、このバイキングの場合は大歯車が34で小歯車が11枚やから、ここから算出されるギヤ比はいくつになる?」

「・・・」

「計算知らん?」

「・・・大歯車が分子で小歯車が分母でいいのっ?」

「そしたら?」

「34割る11だからっ、・・・電卓、いいっ?」

「どうぞ」

「・・・3.09になるよっ」

「小数点以下0909の繰り返しでダイワのスペックによると3.1やね」

「だから結局っ、大歯車と小歯車の歯数の比率でギヤ比なんだねっ」

「比率やから正しい表現は3.1:1になるけど、昔のリールはこんな具合でギヤ比が低くて、最近のリールは高い傾向にあるよね」

「今のリールだと、ギヤ比8とか9とかもあるもんねっ」

「ギヤ比9とかって病気やと思う・・・」

「Gamくんは気にいらないっ・・・」

「2005年頃まで超高速ベイトリールって右ハンドルのPT33SHしかなかったから、左ハンドルもほしいなぁ、って思ってたけど、ここまでくるとやり過ぎと違うかなぁ、って気がする」

「・・・」

「20世紀の超高速ベイトの到達点はPT33SHやけど、21世紀仕様の超高速ベイトの始祖はダイワでもシマノでもABUでもなくってQuantumやからな」

「ふ〜んっ・・・」

「話し戻すわ、対象魚とギヤ比、って視点で言えば大型魚狙いのリールはギヤ比が低くなる」

「ギヤ比がちっちゃい方が力強いんだねっ」

「極端な例としては巨大なトローリングリール、シマノのティアグラ130は2スピードで高速側2.1の低速側が1.15やから全然違うよね」

「うんっ」

「歯数でもう一つコメントするけど、バイキングのギヤ比って除算では割り切れん数字になるよね」

「そうだねっ、3.0909で0909がずっと繰り返すねっ」

「一般生活においてはキリのいい数字、ってことで割り切れる数字にすることってあるやん」

「え〜っと、この場合だと、大歯車の歯数を33にすればギヤ比が3になって割り切れるよっ」

「歯車の場合、それはあんまりよくない」

「へ〜っ、そうなんだっ」

「この場合、ギヤ比が3.0で大歯車が1回転すると小歯車は3回転して同じ歯がかみ合うことになるよね」

「うんっ」

「そうなると同じ歯がかみ合うタイミングが多くなるから、歯面の加工精度やらちょっとしたきっかけがあって歯面が荒れた場合には特定の歯の摩耗が急速に進行する」

「・・・」

「それを防ぐためにギヤ比を割り切れん数字にして、できるだけ全体として均等にかみ合わせるようにする」

「ふ〜んっ」

「もちろん歯車装置として3とか4とかの整数が必要な場合は割り切れるギヤ比にするしかないけど、リールの場合は整数が必要ってワケじゃないよね」

「糸を巻くコトが目的だからっ・・・」

「そうそう、そんな感じ、で、次のモジュールやけど、これは歯の大きさを表す数字のことで『JIS B1701-2』とその附属書で一定の数値が標準値として定められている・・・

JIS B1701-2
こっちは『JIS B1701-2』の本文な
モジュールって言ってもいろんな大きさがあるんだねっ

今の『JIS B1701-2』はモジュール1未満の規定がないけど、リール用途だとそっちの方が必要になってくるから・・・

JIS B1701-2附属書
モジュール0.1ってすっごくちっちゃいよねっ
どんなんか見当もつかんなぁ・・・

『JIS B1701-2』の附属書、ってカタチでモジュール1未満の標準値が規定されている」

「附属書っ?」

「国際規格との整合性をとる必要上の対処やな」

「そのっ、国際規格にはモジュール1未満が規定されていないんだっ?」

「対応国際規格の『ISO 54』はそうらしいけど、JISと違ってISOはフリーで閲覧できへんからウチも知らん」

「フリーなのってJISだけなのっ?」

「規格の原本をフリーで閲覧できるのって世界的には珍しいみたいやけど、規格の普及化って視点で言えばJISの方針は正しいと思う」

「うんっ」

「ただ、閲覧するのにAbobeReader10以上が必要とか、ブラウザの設定とかセキュリティ関連が強化されているのが面倒やけど」

「・・・」

「話し戻るけど、モジュールの大小は歯の強度、それにかみ合いの滑らかさに関連するよ」

「モジュールのちっちゃい場合は強度的には弱いけど、滑らかにかみ合うんだねっ」

「シマノ的には小さいモジュールでも歯車強度として問題ない、ってことでマイクロモジュールを採用したと思う」

'13・メタニウムの大歯車
歯車強度はモジュール以外にも歯幅やら材質とかいろんな要素があるからなぁ・・・
コレっ、アルミの歯車だよねっ

「う〜んっ・・・」

「シマノ製ベイトリールのファーストモデルはスピードスプールやけど、内部構造としては旧ABUの派生モデル、って言ってもいいよね」

「そうだっけ・・・」

「シマノに言わすと、大昔に策定されたモジュールはベイトリールの負荷を考慮すると過大だった、と」

「・・・」

「それはライギョマンが使う新型コンクエスト400番でも一緒で、カバーゲームとかなんやかんや言うても結局は小さいモジュールの歯車で成立するくらいの負荷しか掛かってない、ってのがシマノの言い分やと思うよ」

「・・・」

「次は直径やけど、我々の目に見える直径ってあるやん」

「うんっ、外径のコトだよねっ」

「外径は歯先円直径な、・・・で、これ以外に我々の目に見えない、歯車計算の基準になる基準円直径が存在する」

「・・・」

「今まで述べた二つの項目あるやんね」

「歯数とモジュールだよねっ」

「この基準円直径と歯数、モジュールの関係は、標準平歯車の場合、簡単な式で表すことができる」

基準円直径d=モジュールm×歯数z

「さっきの歯先円直径は計算できるっ?」

「もちろん標準平歯車として考えると、

歯先円直径da=モジュールm×歯数z+2×モジュールm

基準円直径にモジュールの2倍を加算した値が標準平歯車の歯先円直径になるわ」

「じゃぁ、バイキングってモジュールを求めることができるんだっ」

「やってみる?歯数34で偶数やから測定可能やんね」

「そうそうっ、奇数だと向かい合った歯がないからっ・・・」

「奇数の場合は適当に測定すればいい、そもそもモジュールは一定の数字が決まってるし歯数も整数やから、多少の測定誤差は最終的には辻褄合わせすることになる」

「ぷぷっ、いつも通りだけど、適当なんだねっ」

「そしたらミキ、直径を読んでくれる?」


マイクロメータの測定寸法は25ミリごと、100ミリまで測定するなら4コ必要・・・
数をそろえないとダメっ・・・

「26.7でいいよねっ」

「計算してくれる?」

「え〜っと・・・」

「わからん?」

「Gamくん、この式、どう展開するんだっけ?」

「・・・モジュールmで括ってくれる?」

「あっ、モジュールm×(歯数z+2)だねっ」

「そしたらできるやんね」

「じゃぁ、36割る26.7で約0.74だからっ、さっきの表に当てはめると、バイキングのモジュールは0.75が正解になるんだねっ」

「実際の歯車は、例えば小歯車の歯数が少ない場合かみ合いをずらす必要があるねんけど・・・

バイキング筏44
片軸リールばっかりだねっ
平歯車の教材がないんや・・・

今度はバイキングシリーズの最小モデル、バイキング筏44やけど、小歯車のカタチを見てもらうとバイキングGS66と違って歯先が尖ってるのがわかると思う」

小歯車
筏44はGS66よりもモジュール小さいぞ
歯数は11だから一緒だねっ

「なんか、そんな感じだねっ」

「これを転位歯車って呼ぶわ」

「ずらしているから、転位なんだねっ」

「歯車1コだけを考えれば基準円直径が名前通りで歯車の基準になるけど、実際の歯車は大歯車と小歯車を組み合わせて運用されているよね?」

「うんっ」

「この大歯車と小歯車が対になった状態でのかみ合いの基準直径がピッチ円直径な」

「Gamくん、色々な呼び方があって難しいねっ・・・」

「ウチが学生の頃は基準円直径って言い方はなくって、全てピッチ円直径やったけどなぁ・・・」

「・・・」

「まぁ、なんしかこの大歯車と小歯車のピッチ円直径でそれぞれの周速度は等しくなる」

「周速度っ?・・・」

「円周上における速度のことやけど、バイキングGS66を標準平歯車と解釈して計算するけど、ハンドルを1秒で1回転させると基準円直径での周速度は34×0.75×πで80.11ミリメートル毎秒になるよ」

「あっ、なるほどっ」

「リールが増速装置なのは前にケミカル編でコメントしたことあるけど、・・・例えば大歯車が1回転したら小歯車は何回転すると思う?」

「ギヤ比で言えば3.1回転するよねっ」

「標準平歯車とすれば基準円直径は11/34で大歯車の約1/3.1になる」

「小歯車の歯数11×0.75だから小歯車の基準円直径は8.25ミリだよっ」

「直径の8.25ミリにギヤ比の3.090909と円周率πを乗算すれば周速度はこれも一緒で80.11ミリメートル毎秒になるよ」

「あっ、確かに小歯車と大歯車で一緒になるねっ」

「そう、このピッチ円周上での周速度はそれぞれ等しい、ってのを覚えといてくれる?かみ合いの基本になるから」

「うんっ、わかったよっ」

「次は歯幅になるけど、これは歯幅が広い方がかみ合いや強度の面で有利になる」

「それはそうだね〜っ」

「ただ、ハウジングの限られたスペースにおさめる必要があるのと、クラッチの機構を考えると小歯車を軸方向にずらしてかみ合いを逃がすワケやからやっぱり歯幅には限度があるし、精度的にも歯幅が広いとその歯幅全体で均一なかみ合いにならないことがある」

「ハウジングのスペースやクラッチはわかるけど、精度とは関係があるっ?」

「平歯車は大小それぞれの歯車が平行やんね?」

「うんっ」

「これが平行でない場合は片当たりになるけど、同じ角度ずれていても幅の広い狭いでずれる量は変わってくるやん」

「・・・幅が広い方がずれる量は大きくなるっ、ってコトっ?」

「そう、そんな感じで広けりゃいい、ってことでもない、現実的にはクラウニングで精度を逃がすことができるけど、覚えてる?」

「えっ、そんなの、言ってたっけ?」

ABUレコード編でコメントしたから2007年、結構な昔になるなぁ・・・」

「じゃぁ、そんな昔のお話しだったら、全然覚えてなくてもOKじゃん」

「ウチは余裕で覚えてるけど?」

「あははっ、それはGamくんだからだよっ」

「それはそうと、丸ABUは今のダイカストフレームのリールに比べると精度的に不利になるから、クラウンカットと称してクラウニングを施すのが必須なのかな?」

「へ〜っ」

「まとめとして、かみ合い率についてコメントするけど、かみ合いの滑らかさや伝達効率等を指標として数字で表すことができる」

「・・・」

「標準平歯車における具体的な計算式はこんな具合で、

正面かみ合い率
これはKHKって歯車メーカーから拝借した
NHKじゃないんだねっ

標準平歯車の正面かみ合い率やけど、計算された数値が大きい方が高効率の歯車対、ってことで解釈してくれる?」

「Gamくん、記号の意味でわかんないのがあるねっ」

「daは前に紹介したように歯先円直径、dbは基礎円直径、aは大歯車と小歯車の中心距離でαが圧力角な」

「中心距離はわかるけど、基礎円とか圧力角とかっ・・・」

「詳細は無視してくれていいよ、この式で重要なのはそういう細かいことじゃなくって、モジュールが分母で直径が分子になるやん」

「じゃぁ、モジュールがちっちゃくって直径のおっきい歯車がいい、ってコトなんだっ」

「マイクロモジュールはそれに該当するよね?」

「あっ、そうそうっ」

「シマノに限らず今のリールは歯車直径を大きくするのがトレンドやけど、かみ合い率だけで考えてもその狙いが理解できると思う」

「うんっ」

「そしたら最後、バックラッシについてコメントする」

「バックラッシ、って、あのっ、バックラッシュのコトっ?」

「・・・ミキ、あの、ってなんや?」

「ほらっ、Gamくん、得意じゃん」

「いや、ウチはめっちゃ苦手・・・」

「ぷぷぷっ」

「・・・歯車におけるバックラッシはかみ合いの遊びのことで、通常の歯車でバックラッシがないと歯車は滑らかに回転しない」

「じゃぁ、もちろんバックラッシュが大きすぎるのもダメなんだねっ」

「かみ合いがガタガタになるからそれで正解やね、・・・で、このバックラッシは歯車のモジュールと直径、それに精度に依存してるよ」

「あっ、モジュールがちっちゃいと、バックラッシュもちっちゃくしないと遊びが大きくなるっ・・・」

「そう、モジュールの大小にかかわらず同じ量のバックラッシを与えた場合、ミキの言うとおりでモジュールが小さければその影響は大きくなるよね」

「うんっ」

「平歯車の場合、規定されていたJIS規格は廃止されたから具体的な数値は参考程度やけど・・・

旧JIS1703
ベアリングと違って0級が精度等級高いぞ
そのあたりって、よくわかんないねっ

さっき言うた通りでモジュールと直径、それに精度等級に依存しているのがわかると思う」

「モジュールよりも精度が変わると違う、みたいな感じだけど?」

「この資料だけ見るとそうやけど、実際には0級と5級の間には1級から4級までが存在するやん」

「うんっ」

「モジュールを小さくするのにはバックラッシを含めた精度も必要になってくるわ」

「なんかっ、ホントに色々あるんだね〜っ」

「ちなみに歯車の場合、バックラッシュじゃなくってバックラッシって表現な」

「でもGamくんっ、喋るのはバックラッシュ、って言ってるじゃん」

「機械用語は昔からこんな表現があって、グリースって書いても、実際にはグリスって言ってるやんね」

「コレは大昔からだから仕方がない、みたいなっ?」

「慣用的にな、・・・これも表現の揺らぎやわ、そしたら基礎編はこれで終わりにするけど、ミキ、難しかったか?」

「うんっ、そうだねっ・・・」

「ウチ、説明するのん、下手クソになったと思う・・・」

「・・・Gamくんっ」

「なに?」

「Gamくんが難しいコトっ、わかりやすいように、色々考えて説明してくれてるのはわかるんだっ」

「・・・」

「・・・でもやっぱ、難しいのは難しいよっ」

「・・・」

「まっ、ミキがお馬鹿だから、仕方がないかなっ」

「あのな、ミキ、そんな言い方するなって」

「だって・・・」

「そしたら、次は種類編、教材リールとその歯車の種類の紹介しようや」

「うんっ、じゃぁ、次の時間まで、待っててねっ」

(2015年6月12日更新)

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