「今度は『シールド編』、いよいよリールチューンっぽくなってきたなぁ」

「そういえば、ファイナルダムンを見ても、Gamくんって『シールド外し』ってしてないよねっ」

「まず、シールド外しやけど『昔のシールドベアリングはグリスを封入してたから、コイツのシールドを外してグリスを脱脂洗浄することによってグリスの粘性抵抗を排除、回転性能を向上することによって飛距離を伸ばす』ってチューニングなのがウチの認識、で、今のベイトリールのスプールベアリングってグリスレスやんか、だから、実戦的にはどれだけの効果があるのかな?って気がするけど」

「あれっ、実験だとA-RBとキュラドのシールドベアリングだと、これもわずかだけどA-RBの方がよかったよねっ?」

「だから、それぐらいの差しかないってことかな、厳密に言えばA-RBとキュラド純正では表面処理が違うからその影響もあるのかも知れん、これについても、今度はアンタレスの純正シ−ルドベアリングでシールドあるなしの比較実験してケリをつけようと思ってる、一応、あの時点では『転動体による空気の撹拌抵抗軽減説』ということにしたけど、その理論は間違ってないと思う、あと、現行ABUのシャフトレスみたいな外輪回転の場合に限るけど、理論的にはシールドを外すことによるスプール重量の軽減、というのが考えられる、なんで外輪回転だけになるかわかるか、ミキ?」

「え〜っとねっ・・・」

「『構造編』を思い出せ、シールドはどこに固定されてた?」

「あっ!外輪に固定されてたからだねっ」

「おっ、いいやんか、ただ、その重さはごくわずかでしかないから現実的にはどうでもいい気がするし、内輪回転の場合は回転体の重量軽減には貢献しないし、外輪回転の場合でも、玉をセラミックにしたり保持器を樹脂にするみたいに摩擦力に対しての影響はないけどな」

「う〜んっ、遠心力を受けた『外輪』はスプールに押しつけられるからっ?」

「そうやね、あと、それ以外やと、グリスレスベアリングになってからはベアリングの寿命は確実に短くなってる、さらに、シールドを外すともっと寿命は短くなると思う、なにせ屋外で、しかも水分のある環境で使うんやからな、異物の混入という面では明らかにシールド外しは問題があると思うぞ、そう考えるとダイワのCRBBにシールドがあるのは技術的には正解かな、でもシールドのないA-RBの方がチューニングベアリングっぽく見えていい感じやねんけどなぁ・・・」

「そんな感じするよね〜っ」

「ああ、その点は商売上手やぞ、さすが天下の『堺商人』のシマノやわ、『塩ガミを海水で洗い流す』とか言うてたけど本当の狙いは『チューニングを思わせる開放型ベアリングによる高性能感』って雰囲気と違うかな?その点ダイワは宣伝はともかくとして、技術的にはマジメな印象がある、少なくともハンドルノブのベアリングには開放型は使わんのと違うか」

「どうしてなのっ?」

「地ベタに置いたりするからな、それやと、ハンドルノブのところが一番異物が入りやすいと思わんか?特に付け根側が」

「あっ・・・」

「昔のリールって、長いこと使うとハンドルノブが摩耗してガタガタになるから、ベアリングとかブッシュを入れて対応するっていうのは巻き心地も含めて正しいアプローチやけど、さすがにハンドルノブは開放型はやめた方がいい、それを思えば、スプールベアリングってまだ条件はいいのかも知れんなぁ、あと、注目すべきはシマノが『S A-RB』とかいってA-RBをシールドベアリングにするみたいやけど、開放型やめるのか?どう言い訳するのかウチは楽しみやったけど、Newステラの紹介でこんなコト言うてる」

すべてのボールベアリングに、新設計のシールドタイプS A-RBを採用しました。業界初の「表面改質」により、高耐食性金属を表面に高密集化させることでベアリングを保護する「不動態層」を形成し、錆を寄せ付けないA-RB(Anti-Rust Bearing)の側面を防錆素材でシーリング。塩水の浸入を減少させ、ベアリング内部に浸入した塩分の再結晶化による塩ガミを大幅に減少させました。錆びないベアリングと、錆びないシーリングの二重効果で、ソルトウォーターでの使用も快適です。さらに、ハンドルやローラークラッチ部にもシールドを施し、接合部からの塩水浸入を防止しています。

「ふ〜んっ、そうなんだっ・・・」

「ミキ、これ読んでどう思う?」

「結局ねっ、シールドなしにしちゃうとダメだった、ってことでいいのかなっ?」

「この説明やと『塩分の再結晶化』っていうのがポイントかな、いくらA-RBでも放置プレイするとあかんかった、っていうのがシマノの言い分と違うやろか?それだけメンテナンス、要するに注油せんと放置プレイしてた人間がいっぱいおった、ということやと思う、『真水で洗い流し、日陰で十分に乾燥させることが必要』というシマノの説明は冗談で、金属部品やねんからちゃんと注油せんとあかんぞ、そんなコトするからすぐに寿命になるのと違うか?あと、S A-RBがグリス封入なのかグリスレスなのか気になるわ」

「それって、どういうことかなっ?」

「もちろんベイトリールのスプールベアリングに使う分はグリスレスのはずやけど、それ以外の用途で使うベアリングやな、これをグリスレスにするかグリス封入にするかやねんけど、ちゃんとメンテナンスすれば、という前提やけど、グリス封入にするんやったら別に普通のステンレスのベアリングでもいいと思う、ウチ的にはA-RBってグリスレスの開放型っていうのがポイントやったからな、ウチはあんまりソルトの釣りをせんからこんなコト言うのかも知れんし、もしかしてメンテする人より放置プレイする人の方が多いのかな?、で、少なくともさっき挙げたハンドルノブとか、スピニングのラインローラーみたいな水分の影響を受けやすい部分については、グリス封入のシールド付き防錆ベアリングっていうのがベストチョイスで、それやとダイワ精工の勝ち!ってことになる、シマノ得意のチャリンコを引き合いに出してまでシールドの必要性を訴えた価値があったみたいやな、ダイワ精工!」

「はははっ、そこまで強調することないじゃんっ」

「誤解せんとってほしいのは、ウチはダイワ精工のファンでもないし、アンチ・シマノでもない、アンチやったらわざわざ逆輸入してまでリールは買わんし、そう思ったからそう表現してるだけやねん」

「ふ〜んっ、それでねっ、A-RBとS A-RBとの比較実験はしないのかなっ?」

「A-RBとS A-RBの比較実験はする必要がない、アンタレス純正で充分やと思うよ、で、ベアリングの寿命の話しに戻すけど、ベアリングは基本的に消耗品、いくら硬くても、常時ごくわずかに弾性変形しながら転がってるから必ず摩耗する、錆や異物の混入は論外やけど、グリスレスの寿命が短くなったのは油切れが原因かな」

「でも、Gamくんって、家に帰ったら必ずリールはメンテナンスする人でしょっ?」

「もちろんその通りや、放置プレイはせん、実際に油断して放置プレイしたカルカッタ51系はすぐに死んでしもたから、釣行後は必ず注油してる、そやけど、それでもグリスレスの寿命は短いと思う、グリスを封入してるベアリングはやはり油切れにはなりにくいし、グリスレスは釣行後に必ず注油するけど、粘度が低い分飛び散りやすい、それで油膜が切れてしまうからいくら釣行後に注油しても追いつかない、釣ってる最中にも注油すればもちろんマシになるけどめんどくさいやん、釣りに集中したいし」

「確かにそうだよね〜っ」

「で、開放型ベアリングは油潤滑っていう風にベアリングメーカーは指定しているけど、これは、常時油を循環させる環境での話しやからリールには当てはまらんし、シールドベアリングはグリス潤滑っていう指定もあるから、今のスプールベアリングってベアリングメーカーの指定外の使い方やから寿命が短いのは当然やわ、注油という意味合いでは開放型の方がダイレクトに注油できるけど、遠心力による油の飛散はシールドの方が少ないからなぁ、どっちがどっちとも言えんぞ、これは」

「結局どっちがいいのかって、まだ結論は出せないんだねっ」

「そうやなぁ、シールド外しによる回転性能の向上と寿命を両天秤に掛けて、あとはコストとの兼ね合いで判断することになりそうやね、防錆ベアリングについては表面処理による耐摩耗性の向上、それに伴う寿命の向上を期待していいかも知れんなぁ、ちなみに寿命の判断は、ベアリングを指で回して『シャー』と音が大きくなったら交換したらいいと思う、ただ、ウチはイクシもアンタレス5もスコ1501も6501CHWPもいい音するけど交換してない、カルカッタ51やコンクエスト51、CV-Z253Lは『シャー』じゃなくて『ゴロゴロ』やったから、ついでに防錆ベアリングに交換したけど、『シャー』音がする程度ならまだ使えるわ」

「それってGamくんらしくないというか、それとも、Gamくんらしいのかなっ(笑)」

「6501CHWP以外は実用上問題ないからええねん、あと、ウチがシールド外しでもう一つ気にしてるのは『確実かつ安全に脱脂洗浄する手段』が今のところウチ的に見あたらんのや」

「CRC5-56とかでいいんじゃないのっ、確か、使ってる人もいたよっ、それでなくても音がするベアリングのままで使ってるんだしねっ」

「厳しいツッ込みするやん(笑)、わかってて使う分には問題ないねん、で、安全というのは『異物を混入させない』という意味、その条件で確実に脱脂洗浄する手段をを考えてみたけど、イソプロピルアルコールかなと思ったけど一般的には入手できんし、ガソリン、灯油、CRC、エタノール、何がいいのかよくわからん、機械部品の洗浄は灯油が一般的やけど、これは入手性と値段が安いからやと思う、あと、超音波洗浄したらいいのか、それとも洗浄液共々ガラス瓶に入れて放置プレイしたらいいのか、どうなんやろか・・・、何せ脱脂洗浄しても『ガラガラ』音がしたら最悪やからなぁ、まぁ、ウチの勉強不足ということで、そのうちソルティガZのベアリングで試そうと思ってる」

「難しく考えすぎじゃないのっ?」

「そうとも言うなぁ、ウチの性格やからしゃあないわ、『S A-RB』のおかげで大幅に加筆修正したけど、ほなら、『精度編』に行こう、次からは長いから気合い入れろよ」

「Gamくん、それじゃぁ、ちょっと休憩しないっ?」

「どこでや?ラブホテルなんかこの辺にないぞ」

「・・・バカっ!」

(2007/2/28更新)

一応、予告編にもどるけどっ、本当は閉じてねっ