ABUが5001Cでシマノがバンタム201SG、ダイワがPMA33SLならば・・・

QD1420L
これ、マグプラスのワイドコンバージョン?

日本だとシマノやダイワ、ABUに比べるとあまり語られる事のないのQuantumのリールだけど、各リールメーカーから左ハンドルのベイトリールが登場した1980年の中頃にはQuantumからもラインナップされていた。QD1420Lというのがそのリールで、ワイドスプールでABU5000番やPMA35SLに相当、管理人の言い方だとPE8号クラスのリールなのだけど、これ以外にもナロースプールのQD1310Lなんてのも存在していたみたい。

ベイトリールとしては当時のトレンドであるマグブレーキや片手操作のクラッチ機構を取り入れた、ごく平凡なリールだと思う。だけど、このリールで特筆されるべき事項、それは、

バンタムマグプラスそっくりの外観なのだ!

国産オールドに詳しい人が見ればそう感じると思う。管理人もマグプラスそっくりのQuantumリールの存在は知ってたけど、実際に入手してみると、その外観の類似性にはコメントを失ったぞ。前側下部のエグリとレベルワインドがかろうじてQuantumを主張しているとしか言いようがない、クラッチやマグダイヤルはまんまマグプラスだもん・・・

そしてもう一つ、特筆すべき事項があるのだけど、シマノのバンタムとダイワのプロキャスターがアメリカ市場を席捲しつつあるこの時代、ZEBCOがメイドインジャパンのベイトリールに対抗してQuantumブランドに投入した手段、それは、

QD1420Lそのものがメイドインジャパンなのだ!

メイドインジャパン
1984年製、じゃないと思う?
フットはマグナムライトみたいに曲げてオフセットさせてるよ

これは意外と言うべき?それともメイドインジャパンに対抗するよりも従順する方を選んだ??その意図はもちろん管理人の知るところではないけど、当時のZEBCOってすごく柔軟な考え方だったのかも知れないね。メイドインUSAを売り物にしていたPENNとは大違いだもん。

さて、メイドインジャパン、と言うからには日本でこのリールを製造していたメーカーが存在するのはもちろんの事だよね。特にバンタムシリーズとの類似点があればシマノ製?なんて仮説も成り立つ事だろう。なので、オーバーホールを兼ねて分解点検してみたけど、

残念ながら?バンタムやファントムとはまったく別のリールなのだ!

バラバラ
リールなんてのは水と中性洗剤で洗えば充分だ
パーツクリーナーなんぞは必要ない!

これだけは断言できる。そしてVスプール&ダイカストフレームのリョービも却下だろう。そしたら当時ZEBCOの輸入代理店だったオリムピック?でも、BX-21以降は管理人も知らんから、製造元の追求はこれくらいにしておこう。

次はマグブレーキかな。今でこそダイワ製ベイトリールの象徴になってしまったマグブレーキだけど、この当時の最先端テクノロジーで各メーカーがこぞって採用していた。そんなマグブレーキを磁力の影響を受ける部分で区別すると、

メイドインジャパン勢はインダクトローターを別に設けているよね。それに対してABUはスプール側面なのだけど、スプール重量を考えればインダクトローターは不利になるのは言うまでもない。特にこの時代のダイワはPT-ZやファントムトーナメントSS以外はローター材質にアルミじゃなくって銅を採用していたからもっともっと不利になる(PT-Eは知らん)。ただ、スプール側面の場合だとメカニカルブレーキの締め具合が緩いと磁石とスプールとの距離が変化するから安定した制動力の発生、といった視点ではインダクトローターの方が安定することになるだろう。

そしてもう一つ、磁石の配置で区別すると、

スプール側面の場合は必然的に並列配置にならざるを得ないのはもちろんの事だ。そして並列配置の場合、リールの限られたスペースでの調整範囲では磁力の影響をゼロにするまで距離を遠ざける事ができず、最弱に設定しても軽く制動力が働いた状態になる。一方の対向配置は最弱設定だとN極とN極、S極とS極をそれぞれ向かい合わせにする事により磁力の影響を打ち消した設定が可能になる。

で、QuantumのマグブレーキはDynaMagと言うのだけど、

スプール側面の磁石並列配置なのだ!

DynaMag
磁石は8個搭載だよ
QuantumのDynaMagでQDかな?

まぁ、ウルトラマグと一緒、ってことだね。これで旧ウルトラマグのフローティングレベルワインドやシャフトレススプール、ダイワのゼロレベルワインドみたいな新機軸が採用されたワケじゃないから脚光を浴びることなく細々と販売されていたのだと思う。ただ、一つだけ、QD1420LにあってPMA33/35SLや旧ABU5001Cにはない事がある、それは、

ドラグが左ネジなのだ!

右ハンドルベイト使いの諸君にはピンとこないと思うけど、右ハンドルベイトだとドラグノブって右ネジだからハンドルを回す方向に回転させると締まるよね。ところが旧ABU5001CやPMA33/35SLは左ハンドルで右ネジなので通常の感覚とは逆にドラグノブを回して操作することになってしまう。シマノはバンタム201SGからずっと左ネジで、管理人も左ハンドルベイトはバンタムマグキャスト21SGが最初だったから、左ハンドルで右ネジのドラグには違和感を感じて仕方がないのだ。今でこそ当たり前のように左ハンドルベイトのドラグは左ネジだけど、最初は部品共用目的だろうか、そうじゃないのも存在していた。でも、それを選択することなく操作性を重視してくれたのか左ネジのドラグで市場に送り出したZEBCOの良心には感謝の意を表しておこう。

そして最後、このリールがPE8号クラスなのは最初に述べている。だから充分にカムルチィ用として使えるのだけど、実は管理人にとってPE8号クラスって意外と激戦区なのだったりする。競合相手として・・・

最後のPT35CとミリVは右ハンドルだから冗談として、上記の並み居る強敵を押しのけてPE8号クラス常用リールの栄冠を掴む事ができるのか、と言えば恐らく否、だろう。現状では同世代のPMA35SLにも劣るだろうから。ってことは、これもフルセラミックベアリング投入?(2011/4/16更新)

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