およそ10ヶ月近くの長期連載になってしまったバンブーカムルチィ。2回もブランク折損しているが、1回目はキャスティング時の負荷による折損、2回目は痩せ細ったカムルチィのフッキングによる折損と、当初に想定していたよりもはるかに軽負荷での折損だから、これじゃぁ「カバーブチ抜き」以前の問題だろう。 本来なら別のブランクを手配してビルドし直すのがベストなのは前回に述べている。だけど、流用したソルト用のバンブーロッドって日本では入手困難なシロモノなので、もう一度、折損した箇所の見直しを行って、このブランクでどうにか復旧させるのだ。

それでは例によって、もう一度前回の折損部を再確認しよう。

2回目の折損
これを恥の上塗りとも言う
なにせ「例によって」だもんね

さて、この折損具合はどう考えてもおかしいだろう。前回も述べたけど、接着が外れてオス側フェルールがずれてそこから折損した、というのが正解だと思う。竹対金属の接着だと通常使うエポキシ系接着剤だと上手く接着できないのだろうか?それともフェルール材のベリリウム銅は熱処理を施しているから、表面の酸化が接着強度に悪影響を及ぼしている??いずれにしてもちょっとわからないのである。このまま手直ししても同じことになりそう?でも、いつものエポキシ系接着剤よりももっといい接着剤を探すのも困難だろうし、タイムアップで来年のお話しになってしまうことも充分に予想される。管理人の場合はお盆を過ぎたら基本的にはカムルチィシーズンは終わり、沖縄遠征を含めた他の釣りで忙しくなってくるから。なので、

今回は構造の見直しだけで済まそう・・・

もう、ヤル気がなくなったの?いや、そうじゃなくって、この調子だと本格運用は来シーズンになることがほぼ確定だから、フェルール部の加工だけでもはっきりと結論づけておきたい、そう思うのだ。というワケで・・・

蛇頭殺フェルール改2
手ェ抜きすぎ・・・

正直言ってかなりの手抜きなのだけど、オス側フェルールは前回のフェルールをそのまま流用、ブランクは前回同様必要最小限しか削らない、そして最初のフェルールで採用したベリリウム銅の補強リングを追加することにした。接着の外れに対応するには、原始的手段だけど接着した状態でフェルールとブランクごと穴を貫通させてピンを打ち込む、ってのが今のところベストな気がする。ただ、管理人の「蛇頭殺フェルール」は周知の通り熱処理済みのベリリウム銅だから、いくらアンダーエージングとはいえ小さい穴を追加で加工するのは難しいと思う。ドリルが折れるかも知れない、ってことだね。なので今回はリング追加で接着面積を増やして対応することにした。ベリ銅の場合は熱処理する前に穴を開けるべきだろう。このあたりに一般的な洋白や黄銅との違い、追加工のめんどくささがベリ銅の欠点ってことになると思う。

そしたら、フェルール作り直したらええやん!

なんてご指摘を頂戴しそうだけど、

ベリ銅の丸棒、全部削ってしもたねん・・・

とだけ、答えておく。なので工場長にお願いして注文しているところなのだよ。

あとはいつも通りにビルドするだけだから特記事項はない。そして完成品は・・・

完成
まぁ、こんな感じでいいだろうね

今回はちゃんと撮影したからね。それにもう一つ・・・

突っ込んだ状態
ホンマでええんか?

突っ込んだ状態もちゃんと撮影したぞ。

竿が完成したら、またまた例によって試験飛行編、「最後の聖戦、バンブーカムルチィ改2!」は今シーズンの締めくくりに相応しい結果になるのか???


2008年9月6日(土)は晴れ時々曇り、朝の7時過ぎに部屋を出発、前回同様に三重県のヒシ池に向かった。お出かけ前のWebチェックと料金所の電光掲示板にも渋滞情報はなく、夏休みも終わって交通量も減っているだろから今日は大丈夫と違うのん、と思っていたけど、

今日は四日市で事故渋滞やんけ・・・

思わず、「なんでやねん、アホー」と言いかけた。でも、大人のはずだからそこは我慢して手前のインターチェンジで降りて渋滞を迂回しよう。管理人は時代錯誤のマニュアルミッション乗りだからオートマチック車の皆様方の想像以上に難儀で、とにかくちょっと進んでまた止まる、ってのがめっちゃニガ手なのだ。

そんなこんなで現地到着は8時45分頃、前回よりはちょっとだけど早く到着したみたいだ。そそくさと準備する管理人、今日のタックルセレクトだけど、

リールと糸を前回と違ったのをセレクトしているけど、たまには長年の相棒も使ってあげよう、くらいの考えで、別に「旧ABUシャフトレス」に問題があったワケではない。糸も巻いてたのをそのまま使っただけ、ヒシ池だから本来は強力PEラインの10号なんか必要ない、6号でOKだけどね。

・・・・・・

池を眺めるが、前回と同様にカエルを引きずり倒した形跡はない。もしかして、この池ってほとんど知られていないのかな?そんな思いが頭をよぎる。それだとプレッシャーも掛かってなさそうだから、ちょっと遠いのを我慢すればカバー系の実験にはもってこいの池なのだろうね。それでは釣り始めよう。前回、前々回で竿の感触はだいたい掴めているからゆったりとしたスイングでカエルを投げる。遠心ブレーキも弱めにセットして竿の遠心力を重視したキャスティングだ。だが、着水点はおよそ45メートル付近とちょっと物足りない。だだっ広い野池だとちょっと不利だろう。

・・・・・・

30分ほど投げ続けたけどサカナの反応は全くない。前回は着水してアクションを加えているPEラインに対してもアタックがあったけど、今日は状況が異なるようだ。前々から降っていた長雨の影響?いや、その前々日くらいから雨は降っていないはずだけど、山に近いから海部郡とは状況が異なるのかも知れない。

横に移動しつつ扇形に手広く、かつ綿密に探り続ける。ヒシしかないエリアで、それもあまり密集していないからどこからでも出てくる可能性があるだろう。だが、ただ虚しく引いては投げ、これの繰り返しになってしまう・・・

・・・・・・

反応がないまま1時間が経過した。たまにだけど別の場所で捕食音と思わしき音と波紋が見受けられる。であれば諦めずに粘るべきだろう。どうせ管理人の知っている他の場所では滅多なことがない限りサカナが出ることはないだろうから。

・・・・・・

1時間半が経過、だが、管理人の投げ込むカエルには一切反応を示さない。ちょっと場所移動だ。この池は岸のブッシュのせいで攻略できるエリアが限られてくるから、場所移動はちょっと迂回する必要がある。先ほどまで曇り加減だった天気も日差しが照りつけて暑くなってくる。ボチボチ来てもええハズやねんけどなぁ・・・

・・・・・・

およそ2時間が経過した頃だろうか・・・。投げ込んだカエルが35メートル近辺まで戻ってきた。ちょっとだけ視線を外して周りの状況を伺う。ギンヤンマが飛んでたりするから結構な山奥なのかも知れないな、なんて考えてると、

「・・・?!」

視線の隅でカエルが消えたように感じた管理人、カエルに視線を戻すと、やはり水面にはカエルの姿はない。今日の初アタックやんけ!糸フケを巻き取りながらフルフッキングを敢行する管理人、

「ビシっ!!」

「ベキっ!!!」

おいおい、またやってしもてるやんけ・・・

前回は足元近くだったからフッキングは成功したけど今回は35メートルレンジ、さすがにこの距離になるとティップセクションのなくなった竿でのフッキングはムリがある。一瞬だけカムルチィの重みを感じたものの、新品のカエルに深い歯型の傷を付けただけに終わってしまった。

また折れちゃった
3回繰り返すとはさすがは管理人だね!

まぁ、長々と状況報告なんかしてみたけど、相変わらず学習能力がないのだろうね。なんだか「ワンショットライター」こと帝国海軍の「一式陸上攻撃機」みたいな感じだね。撃たれたら一巻の終わり、ってことだけど知ってるかな?

破断面はこんなの
今度は破断面だよん

誰も知らない冗談はいいけど、今回はオス側フェルールじゃなくってメス側フェルールの付け根部分でブランクが折損している。手を加えたオス側の強度が上がったので今度はメス側で折損したと思われる。

さて、前回は予備の道具で釣り続けたのだけど、今回は脳に来たので尻尾を巻いて退散した。「イタチの最後っ屁」でもいいだろう。とにかくこれで「最後の聖戦」にも敗れ去り、虚しく帰路についたのであった・・・


では、今までの3回にわたって報告した試験飛行の総評を、サカナを掛ける以前の話しなのと前回及び前々回と重複するけどトータルとしてコメントする。

  1. 飛ばん!
  2. クソ重い!
  3. フェルール部のブランク削りすぎ!

1.はバンブーが通常のカーボンロッドよりも低反発だから。およそ5〜10メートル近く飛距離の低下をもたらしているように思える。「飛ばせ、鉄拳!バンブー編」なんかやってないから正確じゃないけど。なので、先にも述べたけどヒシ池で遠投する、なんてのはあまり適していないことになる。じゃぁ、遠投する必要がない場所となれば管理人のアタマの中では「海部郡オープンクリーク打ち」になるけど、スピニングのバンブーロッドでもビルドしてみようか?長さもそんなに必要ないだろうし。

2.は総重量で500グラム近くもあるから軽いカーボンロッドに比べると倍近く重くなる、とは言わないけどヘビカバ系の竿すら超えてしまう重量級の竿になってしまっている。

バンブー 2ピースカムルチィ
バンブーカムルチィと2ピースカムルチィ、どっちも可変バランサー込みの重さだよ

これならバンブーカムルチィがマジメに重いことが一目瞭然だろう。でも、ヘビカバ系の竿を思うと重さの割には人間に対する負担は少ないことを感じたのも確かだ。これはバンブーが低反発、柔らかいので必然的にそうなるのだと思う。投げ方にもよるのだろうけどね。

3.は技術的なことだから管理人が知恵を絞ればどうにかなるのかな?何せ初のバンブーロッドだからよくわからなかった、ってことにしておいてほしい。

削りすぎ
フェルールをあまり太くしたくなかったからね・・・

これ以外で細かい点を列挙すると、

バットキャップ
やっぱG4があかんのかなぁ?
実は「橘花・蛇頭殺」のバットキャップもG4で外れてん・・・

これくらいかな。この辺は本当に細かい点だから、手を抜かずにちゃんとビルドすれば改善すると思うよ。

残念な結果に終わってしまったけど、今回でひとまず「カバーブチ抜きバンブーカムルチィ」は終了だ。予想外の長期連載だったけど問題点の洗い出し、「2号バンブーカムルチィ」こと「銀河・蛇頭殺」のデータ取りと前向きに考えればいいだろう。果たして管理人に学習能力は存在するのか?そしてそれはいつの日になるのか、乞うご期待??(2008/9/6更新)

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